不動産投資を始めると、家賃収入などの所得が発生します。その際、確定申告が必要になりますが、選択できる申告方法として「青色申告」と「白色申告」があります。この2つは単なる名前の違いではなく、税金面でのメリット・手間・要件などに大きな違いがあります。
この記事では、不動産所得を得ている方、これから不動産投資を始める予定の方に向けて、「青色申告」と「白色申告」の具体的な違いやメリット・デメリット、不動産投資においてどちらが有利なのかを、初心者にもわかりやすく解説します。
青色申告と白色申告の基本的な違いとは?
まず、青色申告と白色申告の基本的な違いを整理しましょう。
| 項目 | 青色申告 | 白色申告 |
|---|---|---|
| 事前申請 | 必要(青色申告承認申請書の提出) | 不要 |
| 帳簿 | 複式簿記 or 単式簿記 | 簡易簿記でOK |
| 控除 | 最大65万円 or 10万円 | なし |
| 赤字の繰越 | 最大3年間可能 | 不可 |
| 家族への給与 | 「青色事業専従者給与」として必要経費にできる | 「白色事業専従者控除」のみ |
このように、青色申告は手続きや帳簿の管理に手間がかかる一方で、さまざまな税制上のメリットが得られます。逆に白色申告は手軽ですが、控除や繰越といった節税機能はほとんどありません。
青色申告の3つのメリット
1. 最大65万円の特別控除が使える
青色申告最大のメリットが「青色申告特別控除」です。複式簿記で帳簿を付け、期限内に電子申告を行えば、最大65万円の所得控除を受けられます。これだけで所得税・住民税が大きく節税される可能性があります。
2. 赤字を3年間繰り越せる
不動産投資では、減価償却や修繕費などを計上して帳簿上は赤字になるケースもあります。青色申告ではその赤字を最大3年間繰り越して、翌年以降の黒字と相殺することが可能。これは将来的な節税に直結します。
3. 家族への給与を経費にできる
家族を業務に従事させている場合、「青色事業専従者給与」として支払う給与を経費にできます。白色申告では金額に上限がありますが、青色申告では就業実態と合理性があれば全額を経費に計上できるのです。
白色申告の特徴と注意点
白色申告は、青色申告のような特別控除はありませんが、帳簿の作成が簡易で済むというメリットがあります。
- 事前の届け出が不要
- 複式簿記の知識が不要
- 開業初年度などで小規模な所得の場合に検討される
ただし、2014年以降、白色申告でも帳簿保存が義務化され、帳簿作成が避けられない点には注意が必要です。
青色申告の要件と手続き
青色申告を行うには、事前に「青色申告承認申請書」を税務署へ提出する必要があります。提出期限は以下の通りです。
- すでに不動産所得がある場合:毎年3月15日まで
- 新たに不動産所得が発生する場合:開業から2ヶ月以内
また、複式簿記で65万円控除を受けるためには、電子申告または電子帳簿保存が必要です。
不動産所得に有利なのはどっち?
結論から言えば、規模が小さく帳簿付けが面倒に感じる人は白色申告でも問題ありませんが、本格的に不動産収入を得ていくなら「青色申告」が圧倒的に有利です。
特に以下に該当する人は、青色申告を積極的に検討すべきです。
- 複数の物件を所有している
- 赤字が出る年度がある(減価償却など)
- 家族に業務を手伝ってもらっている
- 所得が増えて節税が課題になってきた
青色申告のデメリットや注意点
もちろん、青色申告にも注意点はあります。
- 複式簿記は慣れるまで大変
- 帳簿付けや管理の工数がかかる
- 65万円控除には電子申告が必須
ただし、これらの負担は「会計ソフトの導入」でかなり軽減できます。最近ではfreeeや弥生、マネーフォワードなど、多くの青色申告対応ソフトがあります。
帳簿作成はどうすればいい?

青色申告には「複式簿記」と「単式簿記」の2種類があります。
複式簿記
資産・負債・収益・費用をすべてバランスよく記帳する方法。やや難易度は高いが65万円控除の条件。
単式簿記
簡易な出納帳ベースでの帳簿。こちらでも10万円の控除は受けられます。
不動産投資では減価償却や家賃収入などが関係するため、慣れてきたら複式簿記をおすすめします。
青色申告への切り替えタイミングと手続き
白色申告から青色申告への切り替えは、毎年の提出期限までに「青色申告承認申請書」を提出することで可能です。1年でも早く提出すれば、控除などの恩恵をその年から受けることができます。
まとめ|不動産投資をするなら青色申告で節税しよう
青色申告と白色申告にはさまざまな違いがありますが、本格的に不動産所得を得ている方にとっては、青色申告が圧倒的に有利です。最大65万円の控除、赤字の繰越、専従者給与などの制度を活用することで、手取りを大きく増やすことができます。
手間を惜しまずに会計ソフトなどを活用すれば、青色申告は十分実現可能です。税金を賢く抑えて、より効率的な不動産経営を目指しましょう。
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